鳩のポーズは、ヨガの中でも人気の高い後屈系ポーズの一つで、片足を後方に伸ばしながら、その足先を手でつかむ姿勢が特徴です。美しい背中の反りと深いストレッチ効果から、多くの人が憧れる一方で、「できない」「痛みを感じる」といった声も多いポーズです。
このポーズは体の多くの部位の柔軟性と筋力のバランスが問われるため、基本の動きをしっかり練習し、焦らず段階的に取り組むことが成功の秘訣です。
鳩のポーズで伸ばされる主な筋肉と期待できる効果
1. 体の前面全体を大きくストレッチ
後屈により、お腹、胸、鼠径部(股関節の内側)といった普段あまり伸ばさない部位がしっかり伸びます。これにより、柔軟性が向上し、動きやすい体づくりに役立ちます。
2. 姿勢改善
胸を大きく広げることにより猫背や巻き肩などの不良姿勢を整える効果があります。デスクワークやスマホ操作が多い現代人に特におすすめのポーズです。
3. 呼吸の質を高める
胸郭の可動性が高まることで、浅くなりがちな呼吸が深まり、自律神経のバランスも整いやすくなります。リラックス効果やストレス軽減にも繋がります。
鳩のポーズができない主な原因とその分析
鳩のポーズがスムーズに決まらない原因は複数の筋肉の硬さや、体の使い方のクセによるものが多いです。以下に代表的な悩みとその背景をまとめました。
| 悩み | 主な原因 |
|---|---|
| 腰痛が起こる | 腰椎の過度な反り(胸椎で反るべきところを腰で補っている)、腹筋や胸筋の柔軟不足 |
| 手が足に届かない | 胸や肩、腕の柔軟性不足、後ろ足の股関節とももの前側の硬さ |
| 膝が曲がらない | 後ろ足の太ももの前側の筋肉の硬さ、お尻の筋肉の硬さ |
| 体が前に倒れてしまう | 股関節(鼠径部)やももの前側の筋肉の柔軟不足で骨盤が立てられない |
| 肩や腕が痛む | 肩関節の柔軟不足、または後屈が浅いため肩に負担がかかっている |
| ももの前側や後ろが痛む | 筋肉が過度に伸ばされている、または過緊張状態 |
| 首の後ろが痛い | 首を過度に反らせすぎている |
腰痛を防止しながら鳩のポーズを上達させるコツ
後屈系のポーズでありがちな腰の痛みの原因は、腰だけで反ろうとし胸椎の動きが不足することです。そこで重要なのは腹筋(特に奥の深層筋)を活用して腰を安定させ、胸をしっかり広げること。
・「バンダ」と呼ばれるお腹の奥の力を入れる感覚を掴むこと
・腰を反るのではなく胸を後ろに開くイメージでポーズを取ること
これにより、腰椎の負担が軽減され安全にポーズを深めることができます。
原因別!鳩のポーズをラクにするおすすめストレッチ&練習法
多くの場合、できない原因は筋肉の硬さや使い方のクセにあります。部分ごとにストレッチや練習法を分けて取り組みましょう。
おしりの柔軟性アップ:薪のポーズ
前脚の安定が悪い、膝がセットできない人向け。
やり方:
1. あぐらの姿勢で右足を下に重ねる
2. 左足の外くるぶしを右足の太ももに乗せる
3. 徐々に外くるぶしを膝へ移動させる
4. 両足のスネが重なる位置まで整えたら、前屈で体を倒す
5. 反対側も同様に行う
鼠径部の柔軟性アップ:三日月のポーズ
骨盤が倒れて腰痛が出る人、後屈が浅い人に効果的。
やり方:
1. 四つん這いから片足を手の間に大きく踏み出し安定させる
2. 骨盤を垂直に立て、腹部を引き上げる意識を持つ
3. 骨盤が傾く前の感覚で止める
4. 両手を上に伸ばし、体前面を開く
5. 反対側も同様に行う
ももの前側をゆるめる:仰向けの英雄のポーズ
後ろ足の膝が曲がらない、ももの前が痛い人におすすめ。
やり方:
1. 正座からかかとを外に開き割座のように座る
2. 手を後ろに置きながらゆっくり体を後ろに倒す
3. 痛みや浮きがある場合は無理せずストップする
4. 慣れてきたら肘を床につけて背中を反らすように倒す
体の前面をしっかり伸ばす:コブラのポーズ
胸筋や腹筋の硬さを和らげるための基礎的な後屈ポーズ。
やり方:
1. うつ伏せで手のひらを肩の下に置く
2. 足は揃えて伸ばすか腰幅で置く
3. おでこを床につけ首の後ろを伸ばしながら上体を少しずつ持ち上げる
4. 腹筋を使い、胸を開く意識で実施。顎は背骨の延長線上に置く
腕・肩の柔軟性アップ:牛面のポーズ
手が後ろに届かない・肩が痛い人向け。
やり方:
1. 座って片足をもう一方の膝の上に乗せる
2. 反対の膝も曲げて足をお尻の横に置く
3. 一方の手を頭上から肘を曲げて降ろす
4. もう一方の手は背中側から回し合わせる
5. 手が届かない場合はベルトなどでつなぐ
6. 反対側も同様に行う
鳩のポーズ練習時の注意点
・痛みがある場合は無理に深めず、軽減法やストレッチから徐々に慣らすこと
・首を過度に反らしすぎないように、背骨の延長上で頭を支える意識を持つこと
・腰ではなく胸で反ることを意識し、お腹の奥を使いバランスを取ること
安全に練習することで、ケガのリスクを減らし、ポーズの本来の効果を最大限に引き出せます。
まとめ:柔軟性と筋力を段階的に伸ばして憧れの鳩のポーズへ
鳩のポーズは憧れの姿ながら、柔軟性不足や体の癖から一筋縄ではできないポーズです。しかし、体の硬い部分を見極め適切なストレッチや補助姿勢を取り入れれば、誰でも着実に上達できます。
痛みを感じたり体が倒れる場合は無理をせず、体の声を聞きながらトレーニングを続けてください。正しいフォームと腹部の筋力を活用し、腰への負担を減らしていくことが大切です。
段階的に体の前面や股関節の柔軟性を高めつつ、腕や肩の可動域も広げていくことで、より安定した美しい鳩のポーズを楽しみましょう。
難しいポーズだからこそ、自分の体としっかり向き合う貴重な時間とも言えます。焦らずじっくり、ポーズの感覚を味わいながら新たな一歩を踏み出してください。









